The Japanese Association For Clinical Avianmedicine

会報要約 バックナンバー:第12号

会報要約 バックナンバー:第12号

1
区 分 【原著】
著 者 平野 郷子
所 属 グリーン鳥の病院
タイトル オカメインコ(Nymphicus hollandicus)におけるマイコプラズマ病の発生状況とその治療効果
Epidemiological survey of Mycoplasmosis in Cockatiels(Nymphicus hollandicus) and the effects of treatment
キーワード オカメインコ、マイコプラズマ感染、PCR法
要 約 オカメインコ(Nymphicus hollandicus)62羽を対象にマイコプラズマ感染の実態を、マイコプラズマ(MYC)属特異遺伝子を検出するnested-PCR法を用いて実施した。また、臨床症状を発現しているMYC陽性鳥について、症状の改善および再検査におけるMYC陰転化を指標に治療効果を評価した。マイコプラズマの陽性率は、71.0%であった。年齢別での陽性率は1歳齢以下で87.2%の高い陽性率を示した。症状別での陽性率は、呼吸器症状を示す個体では80.0%、呼吸器症状以外の症状を示す個体では50.0%、無症状個体では40.0%であった。治療によって88.9%の高い症状改善率を示したが、陰転率は69.0%であったことから、臨床的には良好な成績が期待できるものの、一旦感染したマイコプラズマは体内に潜在化してしまう個体が存在することが示唆された。
keywords cockatiels, mycoplasmosis, PCR method
summary Epidemiological survey of mycoplasma infection by the nested PCR method was carried out using 62 individuals in cockatiels(Nymphicus hollandicus). Effects of antibiotics treatment against MYC-positive birds with some clinical signs were also evaluated based on improvement of clinical signs and PCR results.
In results, MYC-positive rates were 71.1%. MYC-positive birds showed that 87.2% were under 1 year of age. MYC-positive rates of individuals showed respiratory signs were 80.0%, and that of except respiratory signs were 50.0%, and that of no sign were 40.0%.
88.9% of all treated birds showed improvement of clinical signs, while the MYC-negative conversion rate was only 69.0%.In conclusion, it was clarified that mycoplasma infection widely spreads among the caged birds and antibiotics treatment was extremely effective. However, it was suggested that the causative organism still remained latent in the body despite of antibiotics treatment in some cases.
2
区 分 【原著】
著 者 西森 永利子 1)、真田 直子 3)、真田 靖幸 3)、竹内 好恵 4)、浅川 満彦 1)
所 属 1) 酪農学園大学獣医学部感染・病理教育群、2) 小鳥の病院 BIRD HOUSE、3) Companion Bird Laboratories、4) 鳥の病院ソロモン
タイトル 飼育下鳥類における消化管寄生原虫類の保有状況とその検査・駆虫に関する一試み
Epidemiological surveys on gastero-intestinal protozoans based on captive birds with case report of clinical examination
キーワード Hexamita sp.、Giardia psittaci、Trichomonas spp.、飼育鳥類、日本
要 約 2000年から2004年の間に、関東地方の動物病院に来院した鳥類124種4768個体を対象に消化管寄生性原虫類を検査した。また、オカメインコ(Nymphicus hollandicus)でヘキサミタ類が高度に検出された新鮮便を対象にPCR法による予備的な検査も行った。その結果、629個体での原虫感染が認められ、確認されたのはHexamita sp.、Giardia psittaci、Trichomonas spp.、Isospora sp.であった。Hexamita sp.の寄生率がもっとも高かった。Hexamita sp.寄生個体にチニダゾール(ハイシジン錠、富士製薬、東京)を投薬し駆虫効果を検討したところ、生後12ヵ月齢以上では無効であった。
keywords Hexamita sp., Giardia psittaci, Trichomonas spp., captive birds, Japan
summary Epidemiological survey on gastero-intestinal protozoans based on 4768 captive birds of 124 species has been carried out in Kanto District, Japan, from 2000 to 2004. In results, protozoan parasites have been obtained from 629 individuals, and these parasites were Hexamita sp., Giardia psittaci, Trichomonas spp. and Isospora sp. Intensity of Hexamita sp. showed highest of all protozoans.  Chinidazol was not effective for cockatiels infected with Hexamita sp. aged over 12 months.
3
区 分 【短報】
著 者 柴田 絵里
所 属 eriどうぶつ病院
タイトル カナリア(Serinus canaria)に対するセラメクチン投与の試み
A test dosage of selamectin to canaries (Serinus canaria)
キーワード セラメクチン、呼吸器症状、カナリア
要 約 呼吸器症状をともなう3羽のカナリア(Serinus canaria)に、セラメクチン(レボリューション6%、ファイザー、東京)の経皮投与を行った。投薬は調剤を要さず、容易に行うことが出来た。投与時の疼痛や違和感は、投与後30分程度の行動観察上認められず、その後いずれのカナリアも症状が改善した。
4
区 分 【短報】
著 者 辻岡 ひとみ
所 属 小鳥と小動物の病院
タイトル オカメインコおよびセキセイインコの高脂血症に対するプラバスタチンナトリウムの効果
The effect of Pravastatin Sodium of hyperlipemia in cockatiels and a budgeriger
キーワード オカメインコ、セキセイインコ、高脂血症、総コレステロール、中性脂肪、プラバスタチンナトリウム
要 約 血液検査にて高脂血症が確認されたオカメインコ(Nymphicus hollandicus)2例、セキセイインコ(Melopsittacus undulates)1例にプラバスタチンナトリウムを投与し、投与前および投与後の総コレステロールと中性脂肪を測定、比較した。3例すべてにおいて、プラバスタチンナトリウム投与から1ヵ月程度で総コレステロールおよび中性脂肪が低下し、活動性の向上など一般状態の改善も認められた。飼い鳥の高脂血症の原因として、不適切な食餌、発情、胆汁うっ滞などが知られているが、治療時にはこれら原因を取り除く療法に加え、総コレステロールと中性脂肪を投薬によって積極的に下げることで、より良好な治療効果が得られると考えられた。
5
区 分 【短報】
著 者 加藤 律子
所 属 横浜小鳥の病院
タイトル セキセイインコ(Melopsittacus undulates)でみられた膵臓腫瘍の3例
Three cases of pancreatic tumor in Budgerigars
キーワード 膵臓腫瘍、膵外分泌部腺癌、セキセイインコ、二次性膵外分泌不全
要 約 セキセイインコ(Melopsittacus undulates)において、生前に膵臓腫瘍が診断できることはほとんどない。今回、雌の卵管・卵巣腫瘍の開腹手術時に膵臓に嚢胞・腫瘤形成しているのを発見し、それらは膵臓原発性の腺癌であることが判明した。また雄において、大きな肉眼的変化のない膵臓腫瘍がすでに周囲の臓器へ漿膜を介して浸潤性に波及していることが判明した。膵臓に発生する原発性腫瘍は膵外分泌部腺癌であったが、腫瘍による二次性膵外分泌不全の徴候は全く認められなかった。
6
区 分 【短報】
著 者 吉田 順子
所 属 さっぽろ小鳥のクリニック
タイトル 掻爬術が奏効したヨウム(Psittacus erithacus erithacus)における鼻石の1例
A case of rhinolith treated by curettage in a Grey Parrot (Psittacus erithacus erithacus)
キーワード ヨウム、鼻石、アスペルギルス
要 約 鼻石はオウム、インコ類で、慢性化した鼻炎が増殖性肉芽腫性となり、乾酪壊死組織が鼻孔を閉塞する結果生じる。今回、鼻石の治療として掻爬術が奏効したヨウムの1症例の知見を得たので、その概要を報告する。ヨウム(Psittacus erithacus erithacus)のメス、推定10歳齢が、蝋膜に発赤腫脹を認めるとの主訴で来院した。病巣は大きさと硬さを増し、鼻石が認められるようになった。
2度の鼻石掻爬術と抗真菌剤等の投与の結果、再発もなく経過良好となった。鼻石に対し、掻爬術は効果が高いと考えられた。鼻石からはAspergillus spp.が培養され、今後同様症例に遭遇した場合、Aspergillus spp.を念頭において薬剤を選択すべきと考えられた。また、上部気道疾患を誘発する環境要因についても考慮していく必要があると考えられた。
7
区 分 【記録】
著 者 伊木 治子
所 属 カルミア小鳥の病院
タイトル オウム・インコ類の腺胃拡張症(Proventricular dilatation disease)の1例
8
区 分 【記録】
著 者 松岡 滋
所 属 あず小鳥の診療所
タイトル 頭蓋内血腫のみられたブンチョウ(Lonchura oryzivora)の1例
9
区 分 【記録】
著 者 海老沢 和荘
所 属 横浜小鳥の病院
タイトル キエリクロボタンインコ(Agapornis personata)にみられた血腫を伴う腫瘍
10
区 分 【記録】
著 者 袴田 剛
所 属 リーフ動物病院
鳥と小動物の病院 リトルバード
タイトル 鳥の体表部腫瘤における細胞診の有用性について
11
区 分 【書評】
著 者 伊木 治子
所 属 カルミア小鳥の病院
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