The Japanese Association For Clinical Avianmedicine

会報要約 バックナンバー:第20号

会報要約 バックナンバー:第20号

1
区 分 【原著】
著 者 佐々木 翔太郎、小嶋 篤史
所 属 鳥と小動物の病院 リトル・バード
タイトル 排便異常を示した飼鳥13例で認められた腸石の性状とその治療成績
The characteristics of enteroliths and the treatment outcomes in 13 captive birds with defecation disorder
キーワード 飼鳥、イレウス、腸石症、画像診断、成分分析、尿酸結石、治療
要 約 腸石症はイレウスの原因の一つに挙げられ、しばしば積極的な外科治療を要する疾患である。しかし、鳥類の腸石症について臨床情報や治療成績に関する詳細な報告は少ない。本稿では排便異常などの臨床所見とX線検査およびコンピュータ断層撮影(CT)検査所見から腸石症と診断された13例の飼鳥の結石の性状と、外科的または内科的治療の成績について報告する。腸石を外科的に摘出した10例では7例で良好な経過が得られ、内科的治療を行った3例ではいずれも良好な予後を示した。腸石の構成成分については、成分分析を赤外分光法(IR)にて行った8例において、3例でケイ酸塩、1例でケイ素およびタンパクの混合物、1例でリン酸塩、1例でカルシウム塩が検出された。1例には尿酸結石と考えられる腸石の存在も明らかとなった。また、電子線マイクロアナライザ(EPMA)にて解析を行った1例については、元素比率から腸石はリン酸カルシウムを主成分としている可能性が示唆された。
keywords captive birds, ileus, enterolithiasis, calculus analysis, diagnostic imaging, urate calculus, treatment
summary Enterolithiasis is one of the causes of ileus and is often a disease requiring aggressive surgical treatment. However, there are few detailed reports on clinical information and treatment outcome about enterolithiasis in captive birds. This article describes the characteristics of enteroliths, and the outcomes by surgical and medical treatment in 13 birds which were diagnosed as an enterolithiasis by clinical signs such as defecation disorder and X-ray and Computed Tomography (CT) examination findings. Good prognosis was obtained in seven of ten cases that surgically removed enteroliths, and in all three cases that treated medically. In eight cases that performed ingredient analysis of the enteroliths by infrared spectroscopy (IR), three cases were silicate, one case was a mixture of silicon and protein, one case was phosphate, one case was calcium salt. One case also revealed the presence of enterolith which is considered urate calculus. In addition, it was suggested that enteroliths may be mainly composed of calcium phosphate, based on the element ratio of one case performed by the electron probe micro analyzer (EPMA).
2
区 分 【記録】
著 者 高木 佑基 1)、武山 航 1)、渡邊 岳大 1)、森田 真央 1)、高見 義紀 1)2)
所 属 1)バーツ動物病院 2)麻布大学獣医学部獣医学科病理学研究室
タイトル 脛骨骨折を呈したシロムネオオハシ(Ramphaastos tucanus)に対してX線透視下にてキルシュナー鋼線を用いて非開創的に固定術を行った一例
キーワード シロムネオオハシ(Ramphaastos tucanus)、脛骨骨折、X 線透視装置、キルシュナー鋼線
要 約 今回、暴発行動をとり、脛骨骨折を呈したシロムネオオハシに対してX線透視下にて非開創的にキルシュナー鋼線を用いて固定術を施し、良好な術後経過を得ることができた。本症例は、飼育鳥類の骨折治療においてもX線透視装置が非開創的な固定術に有用であることを示した。
3
区 分 【記録】
著 者 齊藤 拓、海老沢 和荘
所 属 横浜小鳥の病院
タイトル キエリクロボタンインコ(Agapornis personata)の長期生存例から考察した鳥類の肺腫瘍の徴候と転機について
キーワード キエリクロボタンインコ(Agapornis personata)、肺腺癌、骨転移
要 約 鳥類において、肺原発の腫瘍の発生は稀であるとされており、その経過や予後についての報告は少ない。今回、我々は死後の剖検で肺腺癌と診断されたキエリクロボタンインコ(Agapornis personata)について、発症から1年以上に亘る長期の経過と予後を記録し、過去の報告例と比較検討した。本症例は呼吸促迫を主訴として来院したものの、腫瘍が増大しても症状は悪化せず、腫瘍の呼吸に対する影響は少なかった。また、本症例では腫瘍の進行は比較的緩慢であったが、終末期には骨転移がみられ、それに伴う神経症状を呈した後に死亡した。鳥類の肺腫瘍では呼吸器症状が乏しいことや骨転移が高率に認められ神経症状を発現する点は過去の報告と一致していた。これらのことから鳥類の肺腫瘍は腫瘍が相当に増大するまで呼吸器症状が発現しないため早期発見が困難であると考えられた。さらに、神経症状の発現は予後不良の指標となる可能性が考えられた。
4
区 分 【記録】
著 者 永井 裕子
所 属 多摩バードクリニック
タイトル ペットバードにおける常在寄生性ワクモ(Dermanyssus gallinae)の可能性について
5
区 分 【情報】
著 者 工藤 慈
所 属 仙台小鳥のクリニック
タイトル オオバタン(Cacatua moluccensis)の壊死性咽頭炎
6
区 分 【情報】
著 者 佐藤 梓 1)2)、小泉 純一 3)、水主川 剛賢 1)4)、大坂 豊 3)、浅川 満彦 1)
所 属 1)酪農学園大学獣医学群獣医学類感染病理学分野獣医寄生虫病学ユニット 2)秋吉台自然動物公園サファリランド 3)横浜市繁殖センター 4)神戸どうぶつ王国
タイトル 飼育下のカンムリシロムクLeucopsar rothschildiにおけるコクシジウム類アトキソプラズマAtoxoplasmaのオーシスト保有状況の検査
7
区 分 【情報】
著 者 上田 通裕 1)、今西 修大 2)
所 属 1)たかつき鳥の病院 2)春日丘動物病院
タイトル 趾に発生した肉芽腫性炎にプレドニゾロンの使用が奏功したキムネゴシキセイガイインコ(Trichoglossus haematodus capistratus)の1例
8
区 分 【情報】
著 者 上田 亜希子、上田 謙吾
所 属 フォーゲル動物病院
タイトル 筋胃内に金属胃物のみられたオオバタン(Cacatua moluccensis)の一例
9
区 分 【情報】
著 者 松田 祐二
所 属 みやぎ小鳥のクリニック
タイトル プレドニゾロン投与が奏功した栓球減少症のオカメインコ(Nymphicus hollandicus)の1例
要 約 急性の消化管内出血が疑われた1歳オスのオカメインコ(Nymphicus hollandicus、雄1歳、体重108g)に対して全血球計算を行った結果、汎白血球減少を伴う栓球減少が確認された。出血が止まらず凝固異常と、他検査結果より自己免疫性疾患を疑いプレドニゾロンを併用したところ、第8病日までに白血球数、栓球数ともに正常となった。第29病日に投薬を終了した。その後、第76病日に再発を認めたため、プレドニゾロンを再投与した結果、その後は良好に推移した。以上の結果から、ヒトやイヌの血小板減少症の治療に使用されるプレドニゾロンが鳥類の栓球減少症においても有用であることが示唆された。
10
区 分 【情報】
著 者 野口 尋代
所 属 さっぽろ小鳥のクリニック
タイトル オカメインコの副鼻腔炎にボリコナゾールが奏功した1例について
要 約 アゾール系抗真菌剤のひとつであるボリコナゾールは主に猛禽類に対するアスペルギルス症の治療薬として知られているが、インコ類の呼吸器感染症治療に関する情報は少ない。この度副鼻腔炎のオカメインコに対してボリコナゾールを使用し、良好な成績を認めたのでここに紹介する。
11
区 分 【情報】
著 者 片岡 智徳
所 属 あゆとも動物病院
タイトル 吸入療法が奏功したと考えられる急性呼吸困難症状を呈したコガネメキシコインコ(Aratinga solstitialis)の1例
要 約 蚊取り線香が原因と思われる急性呼吸困難を呈したコガネメキシコインコに、保定の危険性から吸入療法を行ったところ、症状の改善が認められた。鳥類に対し比較的安全とされている蚊取り線香でも、吸入濃度や煙の粒子により重篤な障害を起こしうると思われ、煙と同等の粒子のエアロゾルを産生する超音波ネブライザーによる吸入療法により、急性の呼吸器障害を改善できたものと考えられた。
鳥類は飛翔という運動を行うために大量の酸素を必要とするため、鳥類の呼吸器は、哺乳類の何倍も効率よく酸素などを吸収できるように作られている。そのため、空気中の毒素吸入に対する感受性も著しく高いとされる。
この度、蚊取り線香(主成分:ピレトリン)の吸引性中毒が疑われたコガネメキシコインコにおいて、肺炎、気嚢炎および神経症状が認められ、吸入療法による治療で改善が認められたと考えられたので、その概要を報告する。
12
区 分 【情報】
著 者 松岡 滋
所 属 あず小鳥の診療所
タイトル 卵管内に糞便が迷入したセキセイインコの一例
要 約 腹部のヘルニアはセキセイインコのメスによくみられる病気の一つである。治療には外科的な整復、内科的な維持療法が実施されるが、治療経過に関する情報は少ない。今回、会陰部のヘルニアで嵌頓を起こし卵管内に消化管内容物が迷入した疑いのあるセキセイインコに遭遇したためこれを報告する。
13
区 分 【情報】
著 者 金谷 麻里杏 1)、長濱 理生子 1)、下川 英子 2)、小澤 賢一 3)、水主川 剛賢 4)、浅川 満彦 1)
所 属 1)酪農学園大学獣医学群 2)元神戸市立王子動物園(現神戸市食肉衛生検査所) 3)東武動物公園 4)神戸どうぶつ王国
タイトル 最近、動物園で経験された寄生虫病3症例
14
区 分 【海外文献紹介】
著 者 曽我 真也、加藤 真梨奈、吉田 麻央、山田 恵美、佐々木 翔太郎、松本 和歌音、登米 美雪、杉山 公太
15
区 分 【インフォメーション】
著 者 眞田 靖幸
タイトル 「鳥種別リーフレット」発行・販売のお知らせ
16
区 分 【インフォメーション】
著 者 眞田 靖幸
タイトル 問題解決型プロジェクト支援事業への応募要領
17
区 分 【インフォメーション】
著 者 眞田 靖幸
タイトル 鳥類臨床研究会 会報投稿規定・原稿執筆要領
PAGETOP
Copyright © 鳥類臨床研究会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.