会報要約 バックナンバー:第14号
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区 分 | 【短報】 |
著 者 | 平野 郷子 |
所 属 | グリーン鳥の病院 |
タイトル | 上部呼吸器症状を呈する飼鳥からの微生物検索と薬剤感受性試験 The screening and drug susceptibility testing of bacterial infections in caged birds with upper respiratory symptoms |
キーワード | 鼻腔洗浄液、薬剤感受性試験 |
要 約 | 当院を受診した上部呼吸器症状を有する飼鳥36羽から採取した鼻腔洗浄液または鼻汁39検体を用いて、培養検査および純培養菌に対する薬剤感受性試験を行なった。その結果、39検体中28検体から細菌または真菌が分離された。Streptococcus/Enterococcus属菌が13検体から、Staphylococcus属菌が11検体から分離され、この2種類の菌属で全検体の約64%を占めた。また、Candida属菌が1検体から、Aspergillus属菌が2検体から分離され、真菌は全検体の8%を占めた。薬剤感受性試験の結果は、グラム陽性分離菌ではクロラムフェニコール、ミノサイクリンおよびアモキシシリンに、グラム陰性分離菌ではカナマイシン、ゲンタマイシン、ノルフロキサシンおよびオフロキサシンにそれぞれ感受性が高かった。さらに、分離検体数が多かったStaphylococcus 属菌ではクロラムフェニコールおよびスルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤に、Streptococcus/Enterococcus属菌ではクロラムフェニコールおよびミノサイクリンにそれぞれ感受性が高かった。 本調査では、上部気道の正常細菌叢と考えられる細菌が多く分離されたが、これらの細菌も免疫低下時には日和見菌として病原性を獲得する可能性が危惧されることから、一概には軽視できない。さらに、多種の微生物が分離された事、薬剤特有の抗菌スペクトルはあるものの感受性試験の結果で薬剤耐性を示す分離菌が多かった事、真菌が8%の検体から分離された事などから、今後は早めに薬剤感受性試験の選択肢を飼い主に説明した上で実施し、分離された原因菌に対して感受性が高くかつスペクトルの狭い抗菌薬を選択し、出来るだけ短期間の投薬で終了するよう努力したい。 |
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区 分 | 【短報】 |
著 者 | 加藤 律子 |
所 属 | 横浜小鳥の病院 |
タイトル | マメルリハインコ(Forpus coelestis)の微胞子虫症の一例 Microsporidiosis of a parrotlet (Forpus coelestis) |
キーワード | 微胞子虫、Encephalitozoon、マメルリハインコ、肉芽腫性炎、日和見感染 |
要 約 | 微胞子虫は、微胞子虫門に属する特殊な偏性細胞内寄生生物で、広範囲の無脊椎・脊椎動物に感染する。鳥類では臨床症状を呈する場合もあるが、不顕性感染していることもあることが分かっている。微胞子虫感染は、宿主側の免疫力の低下によって発生する日和見感染である。今回、難治性の軟便、呼吸促迫を呈し衰弱死した若齢のマメルリハインコにおいて、特徴的な肉芽腫性腸炎、病変内に多数の微胞子虫の虫体と胞子が認められ、電子顕微鏡による特徴的な胞子が形成されていることが確認された。よって本症例に微胞子虫感染が判明したことにより、免疫力低下を起こしている病鳥管理について更なる配慮が必要と考えられた。 |
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区 分 | 【記録】 |
著 者 | 工藤 慈 |
所 属 | さっぽろ小鳥のクリニック |
タイトル | 卵塞によって腹水が生じたコザクラインコ(Agapornis reseicollis) |
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区 分 | 【記録】 |
著 者 | 石井 まりを |
所 属 | 横浜小鳥の病院 |
タイトル | ブンチョウ(Lonchura oryzivora)の幼鳥における剖検2症例の病理学的考察 |
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区 分 | 【情報】 |
著 者 | 海老沢 和荘 |
所 属 | 横浜小鳥の病院 |
タイトル | 人と鳥のQOL |
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区 分 | 【情報】 |
著 者 | 浅川 満彦、遠藤 大二、萩原 克郎、村松 康和、寺岡 宏樹、松田 一哉、岡本 実、谷山 弘行、田村 豊、横田 博 |
所 属 | 酪農学園大学大学院獣医学研究科 |
タイトル | 鳥類の感染・寄生虫症モニタリング調査に基盤を置く保全医学研究:私立大学戦略的研究基盤形成支援事業2008年度~2010年度の概要 |
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区 分 | 【情報】 |
著 者 | 吉田 順子 |
所 属 | さっぽろ小鳥のクリニック |
タイトル | セキセイインコ(Melopsittacus undulatus)の頭蓋骨に由来する骨肉腫(Osteosarcoma)の1例 |
要 約 | マクロラブダス症と診断したセキセイインコ(Melopsittacus undulatus)、(オス、9ヶ月齢)が、第11病日より、徐々にふらつき、運動失調、右眼球突出、旋回運動等を呈し第43病日に斃死した。病理組織学的検索結果は、右前頭部の、頭蓋骨由来と考えられる骨肉腫(Osteosarcoma)であった。骨肉腫は翼、後肢骨においてしばしば認められるが、頭蓋骨に発生した希少な例であった。 |
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区 分 | 【情報】 |
著 者 | 喜代濱 円 |
所 属 | さっぽろ小鳥のクリニック |
タイトル | ボタンインコ(Agapornis lilianae)で見られた膵臓腫瘍の一例 |
要 約 | 腹部膨満、黒色便を呈したボタンインコ(オス、10歳齢)が第165病日に死亡した。死後剖検を行い、胃腸及び膵臓を摘出し臓器の病理組織学的検索を行ったところ、膵臓における腺癌(Adenocarcinoma)であった。膵臓腫瘍は鳥類に比較的珍しい腫瘍であり、今回一般的な膵臓腫瘍の病態と異なる症例に遭遇したためその概要を報告する。 |
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区 分 | 【情報】 |
著 者 | 松岡 滋 |
所 属 | あず小鳥の診療所 |
タイトル | 腹腔内に黄色腫のみられたテンニョインコ(Polytelis alexandrae)の一例 |
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区 分 | 【情報】 |
著 者 | 小嶋 篤史 |
所 属 | 鳥と小動物の病院リトル・バード |
タイトル | 古くて新しい駆虫薬 |
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区 分 | 【書評】 |
著 者 | 小嶋 篤史 |
タイトル | 『鳥類とエキゾチックアニマルの血液学・細胞診』 麻布大学教授 斑目 広郎 訳、文永堂出版 |
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区 分 | 【海外文献紹介】 |
著 者 | 渡邉 賢介、石原 直子、上田 通裕、石井 まりを、喜代濱 円、阿子島 さおり、羽多野 優芳、上田 亜希子、添田 琴恵 監訳:真田 靖幸 |
13 | |
区 分 | 【海外文献紹介】 |
著 者 | 上田 通裕、喜代濱 円 監訳:小嶋 篤史 |
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区 分 | 【報告】 |
著 者 | 眞田 靖幸 |
所 属 | 小鳥の病院BIRD HOUSE CBL |
タイトル | 鳥医たちの談話会(Bird Doctor’s Meeting;BDM)について |
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区 分 | 【インフォメーション】 |
著 者 | 編集委員 |
タイトル | 鳥類臨床研究会 会報投稿規定・原稿執筆要領 |