会報要約 バックナンバー:第26号
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区 分 | 【短報】 |
著 者 | 片岡 智徳、片岡 アユサ |
タイトル | 多骨性の骨芽細胞性骨肉腫が認められたヒメウズラ(Coturnix chinensis)の1例 |
キーワード | 骨肉腫、骨芽細胞性、多骨性、骨転移、ヒメウズラ |
要 約 | 胸部の腫瘤を主訴に来院したヒメウズラ(Coturnix chinensis)において、X線検査により胸骨・胸椎・上腕骨に骨性腫瘤を認め、骨肉腫が強く疑われた。症例に対しては、腫瘤の発生部位は軸性骨格が主であったため対症療法を行ったが死の転帰をとった。剖検を実施し、病変部の病理組織学的検査を行ったところ、3ヵ所の骨の骨性腫瘤および肺のすべてが骨芽細胞性骨肉腫と診断され、さらに、複数の骨に発生したことから多骨性の骨芽細胞性骨肉腫と診断された。また、各々の骨肉腫病変の組織像から胸骨の腫瘤が原発巣であり、胸椎、上腕骨および肺の腫瘤は転移巣であると考えられた。 |
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区 分 | 【短報】 |
著 者 | 寄崎 まりを |
タイトル | セキセイインコ(Melopsittacus undulatus)の排泄口尾側ヘルニアの縫合法における有用性の検討 |
キーワード | 排泄口尾側ヘルニア、尾羽下制筋、縫合 |
要 約 | セキセイインコ(Melopsittacus undulatus)の排泄口尾側に形成されたヘルニアに対する外科的整復として、左右尾羽下制筋を非吸収糸で横方向に単純結紮縫合してヘルニア輪を閉塞する方法を2症例に適応し、従来法よりもヘルニア閉塞を支持するのに十分な張力が得られると考えらえた。 |
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区 分 | 【短報】 |
著 者 | 村上 彬祥、石田 智子、奥山 愛友、岩崎 千恵美、小沼 守 |
タイトル | 外傷性脳損傷後のステロイド反応性脳障害を疑ったオカメインコ(Nymphicus hollandicus)の1例 |
キーワード | 外傷性脳損傷、神経学的検査、ステロイド |
要 約 | 鳥類において外傷性脳損傷(TBI)は衝突などを起因として引き起こされることが多い。今回、衝突後に発生した持続性の脳神経障害が認められたオカメインコにおいて、プレドニゾロンを使用したところ良好な経過が得られたことから、ステロイド反応性脳障害が疑われた。また、同時に行った神経学的検査および経時的変化の検討が脳神経障害の類症鑑別に有用であったため、鳥類においてもそれらの重要性を認識することが出来た。 |
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区 分 | 【短報】 |
著 者 | 河原 咲、小嶋 篤史 |
タイトル | フクロウ類の外傷性疾患の発生状況および繋留用装具に由来した外傷事例に関する考察 |
キーワード | フクロウ類、外傷、繋留、ハイドロコロイドドレッシング |
要 約 | 2016年から2020年に来院したフクロウ類48種、363羽の診療簿に基づき、回顧的に疾病統計を行った。また、外傷性疾患について発生状況および原因を調査し、その中でも繋留用装具に由来した外傷については、重症例の治療予後および予防についても考察した。フクロウ類の受診理由は、消化器症状(41.2%, 186/456例)と外傷症状(20.4%, 93/456例)が多かった。外傷は脚部に多く(59.1%, 55/93例)、その原因は装具によるものが最も多かった(34.5%, 19/55例)。重症例は全てハイドロコロイドドレッシング剤による創傷保護とテーピングを実施し、断脚に至った症例はいなかった。今回の調査から、フクロウ類における繋留飼育を始めとする飼育環境について、改めて提言していく必要があると思われた。また、脚部の外傷については創傷保護が有用であったが、その治療期間の長さや処置の頻度について十分なインフォームドコンセントが必要と考えられた。 |
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区 分 | 【短報】 |
著 者 | 上田 通裕、眞田 靖幸 |
タイトル | 呼吸困難を呈し死亡した2例のフクロウ類における気管の扁平化および気管輪軟骨の低形成と部分欠損 |
キーワード | メンフクロウ、アフリカワシミミズク、呼吸困難、気管変形(扁平化)、気管虚脱、気管輪軟骨の低形成 |
要 約 | 呼吸器症状を主訴に来院したメンフクロウ(Tyto alba)とアフリカワシミミズク(Bubo africanus)がともに呼吸困難を呈し、死亡した。メンフクロウでは治療期間を通して明らかな症状の進行は認められなかったが、X線検査で気管の変形による狭窄が観察された。アフリカワシミミズクは初診時より重度の呼吸困難を示し数日で死亡した。メンフクロウとアフリカワシミミズクの死後の病理解剖により気管の扁平化および気管輪軟骨の低形成と部分欠損が認められた。今回の2羽の気管の気管輪軟骨の低形成と部分欠損の原因は不明であり、今後の症例と知見の集積が望まれる。また、呼吸困難の症状を示す鳥では、鑑別診断に気管の扁平化も含める必要がある。 |
6 | |
区 分 | 【記録】 |
著 者 | 村上 彬祥、石田 智子、奥山 愛友、岩崎 千恵美、小沼 守 |
タイトル | ヒメコンゴウインコ(Ara severa)の食餌性機械的イレウスにブチルスコポラミンが有効であった1例 |
キーワード | ブチルスコポラミン、ヒメコンゴウインコ、食餌性機械的イレウス |
要 約 | 嘔吐および排便停止を主訴に来院し、腸閉塞(イレウス)を疑ったヒメコンゴウインコ(Ara severa)に対し、疼痛緩和および内科的解除を目的としブチルスコポラミンを投与したところ、硬固なペレット塊の便中への排出が認められ、イレウスの内科的解除が可能であった。このことより、外科的介入が困難なイレウスに対するブチルスコポラミンの有用性が示唆された。 |
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区 分 | 【記録】 |
著 者 | 小嶋 恭子、太田 和美、小嶋 佳彦、小嶋 大亮 |
タイトル | 腹水を用いて鉄貯蔵病の診断を検討したキュウカンチョウ(Gracula religiosa)の1例 |
キーワード | キュウカンチョウ、鉄貯蔵病、腹水細胞診 |
要 約 | 12歳齢のキュウカンチョウ(Gracula religiosa)が、腹部膨大と活動性の低下を主訴に来院した。初診時、症例は開口呼吸、スターゲイジング等の呼吸困難症状を呈していた。腹部のライティングおよび超音波検査により腹水貯留が確認され、X線検査では肝陰影および心陰影の拡大が認められた。症状改善のため超音波ガイド下で腹腔穿刺による抜水を行ったところ、呼吸状態は改善した。更なる診断のため腹水の塗沫標本を用いてベルリンブルー染色を行ったところ、マクロファージおよび単核細胞の細胞質内に陽性像が観察された。以上の特徴的な臨床症状および検査所見から、鉄貯蔵病を疑った。鉄貯蔵病の診断において、腹水塗抹標本のベルリンブルー染色が有効である可能性が示唆された。 |
8 | |
区 分 | 【記録】 |
著 者 | 伊勢 健一郎、大貫 愛、植松 淳 |
タイトル | うっ血性心不全のサザナミインコ(Bolborhynchus lineola)の1例 |
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区 分 | 【情報】 |
著 者 | 牧野 幾子 |
タイトル | 眼瞼縫合が奏功した角膜穿孔のベンガルワシミミズク(Bubo bengalensis)の1例 |
10 | |
区 分 | 【情報】 |
著 者 | 松本 和歌音 |
タイトル | 卵墜症、卵管内蓄卵材症および肺真菌症を併発し突然死したキガシラアオハシインコ(Cyanoramphus auriceps)の一例 |
11 | |
区 分 | 【情報】 |
著 者 | 白川 希 |
タイトル | 九州地区における症例検討会の報告 |
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区 分 | 【情報】 |
著 者 | 小嶋 篤史 |
タイトル | 新連載『学位取得奮闘記』の序 |
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区 分 | 【情報】 |
著 者 | 眞田 靖幸 |
タイトル | 私の学位取得奮闘記 |
14 | |
区 分 | 【海外文献紹介】 |
著 者 | 羽多野 優芳、立石 陽子、竹川 真子、佐々木 翔太郎、河原 咲、永嶋 惇平、髙木 慎介、細谷 崇、加藤 真梨奈、吉田 麻央 |
15 | |
区 分 | 【インフォメーション】 |
著 者 | 眞田 靖幸 |
タイトル | 問題解決型プロジェクト支援事業への応募要領 |
16 | |
区 分 | 【インフォメーション】 |
著 者 | 眞田 靖幸 |
タイトル | 「鳥種別リーフレット」発行・販売のお知らせ |
17 | |
区 分 | 【インフォメーション】 |
著 者 | 眞田 靖幸 |
タイトル | 鳥類臨床研究会 会報投稿規定 |
18 | |
区 分 | 【インフォメーション】 |
著 者 | 眞田 靖幸 |
タイトル | 鳥類臨床研究会会報 原稿執筆要綱 |