The Japanese Association For Clinical Avianmedicine

会報要約 バックナンバー:第16号

会報要約 バックナンバー:第16号

1
区 分 【短報】
著 者 喜代濱 円
所 属 さっぽろ小鳥のクリニック
タイトル セキセイインコ(Melopsittacus undulatus)309例におけるMacrorhabdus ornithogaster 感染の一施設における回顧的調査― 2013年度 ―
Macrorhabdus ornithogaster in budgerigars(Melopsittacus undulatus) :A retrospective study of 309 cases seen at one clinic-2013-
キーワード Macrorhabdus ornithogaster、セキセイインコ、疫学調査
要 約 2012年8月1日から2013年5月31日において、当院に来院した初診のセキセイインコ(Melopsittacus undulatus)309例を対象に、Macrorhabdus ornithogaster 感染に関して疫学調査を行った。309例中70例が糞便検査にて陽性であり(陽性率:22.7%)そのうち症状を呈したのは20例(発症率:6.5%)、陽性例のうち発症した症例の割合(陽性群発症率)は28.5%、発症しなかった症例の割合(陽性群非発症率)は71.4%であった。年齢別に調べたところ、陽性率は年齢が上がるほど低下傾向にあったが、陽性群発症率にばらつきはあるものの6歳齢以上の陽性例では100%であった。以上よりマクロラブダス症において早期発見、早期治療が重要であると考えられた。
2
区 分 【短報】
著 者 工藤 慈
所 属 さっぽろ小鳥のクリニック
タイトル 静岡県産のコザクラインコ(Agapornis roseicollis)雛にみられた鳥ポリオーマウイルス感染症を疑う連続発症例
Consecutive cases of suspected avian polyomavirus infection in juvenile love birds(Agapornis roseicollis)originated from Shizuoka prefecture
キーワード 鳥ポリオーマウイルス感染症、コザクラインコ、連続発生
要 約 2013年1月下旬から2月下旬にかけて、札幌近郊のペットショップで静岡県産コザクラインコ雛4羽に入店直後から全身性の羽毛異常が認められ、そのうちの1羽から鳥ポリオーマウイルス(avian polyomavirus; APV)遺伝子が検出された。一方、オウム嘴羽病ウイルスは検出されず、コザクラインコに生じた羽毛症状はAPV感染が原因による可能性が高い。今回のAPV感染症を疑う症例の連続発生は、発生状況からペットショップ入荷前に感染が成立したと推測され、卸売業者内のみならず、仲買業者内もしくは繁殖業者内において本感染症が流行していた可能性が考えられた。
3
区 分 【短報】
著 者 上田 通裕、海老沢 和荘
所 属 横浜小鳥の病院
タイトル ニホンウズラ(Coturnix japonica)にみられたB細胞由来低分化型リンパ腫の1例
B-cell Lymphoma in a Japanese quai(Coturrnix japonica)
キーワード リンパ腫、B 細胞型、低分化型、ニホンウズラ、体腔内腫瘤
要 約 リンパ腫は、鳥類においても様々な種で報告されているが、リンパ腫の分類に関する報告は少ない。今回、去勢した5歳のニホンウズラにおいて脾臓原発と思われる体腔内腫瘤を認め、内科療法を実施したが、緑色尿酸の排出、肝臓腫大による腹部膨満を呈し、呼吸不全にて第31病日に斃死した。腫瘤や転移と思われる肝臓の病理組織学的検査、免疫組織化学的検査により、B細胞由来の低分化型リンパ腫であると診断された。
4
区 分 【短報】
著 者 石原 直子、海老沢 和荘
所 属 横浜小鳥の病院
タイトル 腎臓にアデノウイルス様粒子を含む核内封入体を認めたセキセイインコ(Melopsittacus undulatus)の1例
A case of budgerigar(Melopsittacus undulatus)with adenovirus-like inclusion bodies in kidneys
キーワード アデノウイルス、セキセイインコ、核内封入体、腎尿細管上皮細胞
要 約 セキセイインコにおけるアデノウイルス感染症は、腸炎などの特徴的な臨床症状を示す場合と、無症候性で宿主の免疫力の低下とともに下痢や神経症状などを発症する場合の報告があるが、臨床例での報告は少ない。病理組織学的検査では、一般的に肝臓、腸および腎臓などの細胞において核内封入体が確認される。今回、突然の消化器症状を呈し、急性経過で死に至ったセキセイインコにおいて、病理組織学的検査にて腎尿細管上皮細胞内にアデノウイルス様粒子を含む核内封入体が確認された。このことから、同様の臨床症状を示す症例に対しては、アデノウイルス感染も考慮し検査および治療を行う必要性を感じた。今後、臨床現場におけるアデノウイルス感染症の更なる情報蓄積が望まれる。
5
区 分 【短報】
著 者 渡邉 賢介、海老沢 和荘
所 属 横浜小鳥の病院
タイトル 粥状動脈硬化症による循環不全から両翼の上腕部及び前腕部に浮腫がみられたセキセイインコ(Melopsittacus undulatus)の1例
A case of budgerigar(Melopsittacus undulatus)with edematous at wings caused by circulatory failure due to atherosclerosis.
キーワード 粥状動脈硬化症、浮腫、セキセイインコ(Melopsittacus undulatus)
要 約 粥状動脈硬化症は、哺乳類および鳥類を含む様々な動物種で報告されているが、鳥類における粥状動脈硬化症の臨床症状の報告は少ない。今回、若齢のセキセイインコにおいて、消化器症状治療中に両翼の上腕部および前腕部の浮腫がみられ、死後の病理検査により、これらの両翼の上腕部および前腕部の浮腫が粥状動脈硬化症に起因する一症状として疑われた症例に遭遇した。このことから、翼の上腕部、前腕部に浮腫がみられた場合、鑑別診断に粥状動脈硬化症をあげる必要があることが示唆された。
6
区 分 【記録】
著 者 吉田 順子
所 属 さっぽろ小鳥のクリニック
タイトル 赤色異常羽毛を呈したコザクラインコ(Agapornis roseicollis)にみられた大動脈粥状動脈硬化症の1例
キーワード コザクラインコ、ノーマル、メス、6歳齢
要 約 赤色異常羽毛を呈したコザクラインコに甲状腺ホルモン製剤を投与したところ症状の改善がみられた。急死後の剖検で死因となり得る重度な大動脈粥状動脈硬化症(atherosclerosis)が確認された。よって赤色異常羽毛と大動脈粥状動脈硬化症は甲状腺機能低下と関連している可能性があると推察された。このことから循環障害の予防のひとつとして、赤色異常羽毛症例に対する甲状腺ホルモン製剤の継続投与の必要性が示唆された。
7
区 分 【記録】
著 者 松田 祐二
所 属 はらのまち動物病院
タイトル セキセイインコ(Melopsittacus undulats)276例における血清クレアチンキナーゼ濃度と予後に関する後ろ向き研究
8
区 分 【海外文献紹介】
著 者 大西 由希子、松田 祐二、石田 理能、髙野 真由、石原 直子、渡邉 賢介、齊藤 拓、山崎 裕之、市原 綾、村上 彬祥
9
区 分 【インフォメーション】
著 者 編集委員
タイトル 鳥類臨床研究会 会報投稿規定・原稿執筆要領
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