The Japanese Association For Clinical Avianmedicine

会報要約 バックナンバー:第31号

会報要約 バックナンバー:第31号

1
区 分 【症例検討】
著 者 平野 郷子
タイトル セキセイインコ(Melopsittacus undulatus)の眼瞼結膜に発生した粘表皮癌の一例
キーワード セキセイインコ、粘表皮癌、悪性上皮腫瘍、眼瞼結膜
要 約 難治性の結膜浮腫の症状を有するセキセイインコ(Melopsittacus undulatus)が当院に来院した。長期間の結膜浮腫の後、結膜内側に腫瘤の形成を認めたため、腫瘤を切除し病理組織検査をしたところ、粘表皮癌との診断を得た。腫瘍細胞は結膜粘膜から連続して充実性に増殖し、表皮粘膜細胞に類似した立方上皮細胞あるいは扁平上皮細胞への分化し、粘液状基質を産生するような細胞も散見された。腫瘍細胞の核の腫大や大小不同は、軽度~中等度程度に認められ、中等度に腫大した明瞭な核小体もみられた。一時、ステロイド剤によって腫瘤が縮小したものの、最終的には腫瘤が急速に大きくなり、衰弱死した。
2
区 分 【症例検討】
著 者 髙木 慎介、中村 進一、 海老沢 和荘
タイトル 左腎欠損に脾臓原発リンパ腫の全身転移が併発したオカメインコ(Nymphicus hollandicus)の1例
キーワード オカメインコ、腎臓欠損、脾臓リンパ腫、転移、T細胞性
要 約 27歳齢のモモイロインコ(Eolophus roseicapilla)が、下腹部の突出と同部位の自咬を主訴に来院した。X線および超音波検査、ダーモカメラによる皮膚検査より、突出部を体表腫瘤と診断した。腫瘤の超音波検査およびダーモカメラ検査では多数のスポット所見が得られ、これらは摘出腫瘤の病理組織検査および免疫組織化学的検索から黄色腫病変と一致し、本腫瘤を「表層に多巣性ないし癒合性の黄色腫病変を伴う脂肪腫」と診断した。また、深部の外科的切除範囲を決定するために術中総排泄口より硬性鏡を用いたライティングを行ったところ、比較的明瞭に境界が示された。
3
区 分 【症例検討】
著 者 工藤 慈、大村 美紀
タイトル Aspergillus fumigatusによって副鼻腔炎を発症したセキセイインコ(Melopsittacus undulatus)の治療と経過に関する報告
キーワード セキセイインコ, 真菌性副鼻腔炎, Aspergillus fumigatus, ミカファンギンナトリウム
要 約 副鼻腔炎を発症したセキセイインコ(Melopsittacus undulatus)に対し、細菌または真菌感染を疑って抗菌薬および抗真菌薬(イトラコナゾール、ボリコナゾール)の全身投薬を行ったが、改善しなかった。そこで、眼窩下洞内の壊死巣を掻把し、得られた検体を原因特定のための検査に供した結果、Aspergillus fumigatus(以下A. fumigatus)が分離・同定された。さらに、薬剤感受性試験ではミカファンギンナトリウム(MCFG)が最も良好な感受性を示した。この結果を受けてMCFGを局所投与したところ全身状態に改善が見られたため、1 か月ほど同治療を継続した。その後も全身状態は安定し副鼻腔炎は改善傾向にあったが、約4 か月後に副鼻腔の炎症が再燃した。しかしながら、再びMCFGによる局所治療を行うと速やかに改善した。真菌の感受性試験は治療薬剤を選択するうえで有効であり、A. fumigatusによる副鼻腔炎へのMCFG局所投与は効果が高いと思われた。一方、治療終了時期の見極めは重要で、長期にわたる治療管理が必要であるとともに炎症が再燃した際の早急な対処も肝要であると考えられた。
4
区 分 【情報】
著 者 浅川 満彦
タイトル 書籍紹介 『海鳥と地球と人間―漁業・プラスチック・洋上風発・野ネコ問題と生態系』(綿貫 豊 著;築地書館、2022年1月刊、定価2,700円+ 税、328頁)
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